空は即ちこれ色なり

すっかり春ですね。
いかがお過ごしでしょうか?
安養寺では
2年前に植えた小さな桜が数本
今まさに満開に咲き誇っています。

昨年末まで
安養寺の裏山には
樹齢130年以上の杉や檜
ナラやカシなど雑木が数百本
ところ狭しと生い茂っていました。

ところが、
ここ数年のうちに
カシノナガキクイムシ
という害虫の蔓延により
ナラやカシは枯れてしまい
倒木の危険性が高まってきました。

また、
杉や檜も背が高くなりすぎて
強風による倒木の危険性が高まり
やむを得ず伐採する運びとなりました。

12月末に全伐の方針となり
重機6台が入る大事業となり
3月末にはすべて伐採が終り
枝葉の処分や地ならしを終えて
すでに裏山全体が丸裸の状態です!

当初、周囲の住民からは、
「唖然!」
「絶句!」
「なんてことを…」
という反応が返ってきました。

それはそうでしょう。
子供の頃から慣れ親しんだ
豊かな緑の森林が無残にも
すべて伐採されていくのですから

でも、いったん
樹木や残骸が取り除かれると

そこには…
青空がこれまで以上に広がり
ひんやりとしていた風が
暖かい心地よい風へと変わり
さっそく緑色の草が生え始め
小さな桜が昨年以上に咲き誇り

今後の本格的な植樹に向けて
イメージが膨らみ、会話が弾み
期待が高まっていのが感じられます。

般若心経に「空即是色」
という一句があります。
和訳すると
「空は即ちこれ色なり」
となります。

「空」は「空っぽの状態」
「色」は「彩りのある世界」
と単純にとらえると
「空っぽの状態」から
「彩りのある世界」が生じる
ことを表現しているといえます。

丸裸になった裏山を見ては
今年から本格的に植え始める
紅葉や桜が年々大きく成長し
20年後には彩り豊かに広がる景色
を〈妄想〉して楽しんでいます。

「空即是色」
「空は即ちこれ色なり」
とはこういう感じかな?
と私なりに解釈しています。

「空」というのは
何もない無味乾燥な状態ではなく
無限の可能性を秘めた状態なのです。

私たちの頭や心にも
同じようなことが言えると思います。

私たちは忙しくなると
頭が思考でいっぱいになり
ときには感情が乱され
不安や怒りなど否定的な感情で
心がいっぱいになってしまいます。

そんなときには
呼吸に意識を向けることで
思考や感情から離れて、頭や心を
空っぽにしてみると良いでしょう。
頭や心に空白ができてこそ
新たな発想が生じる余地ができ
周囲の人々に思いやりを向ける
ゆとりを持つことができると思います。

私は煮詰まった時には
近くの露天風呂に行って
(携帯電話を車の中に放って…)
ゆったり身体の疲れを癒やしながら
ぼーっと時間を過ごすことがあります。

「腹が立つ!」
「話の分からん人や!」
「もうやってられん!」
「はあ~どうしよう?」
「またやってしもうた…」
など…
しばらくは
忙しくいろいろな思考が
頭の中をくるくる回りますが…

少しぬるめの湯の中で
身体の緊張をほぐしながら
上半身に当たる風を感じながら
小鳥のさえずりや雨音を聞きながら
ぼーっとしてると…
そのうちに考えることが面倒になって
いつの間にか心地よい時間を
ぼんやり過ごせるようになります。

ひととき心地よい時間が流れると…
身体の緊張がほどけ
頭や心のリセットができて…
ふと新しい発想が湧いてきたり
よしやろう!とやる気が湧いてきたり
自然と好ましい変化が起こります。

温泉瞑想と呼んでます。
簡単な手抜き瞑想ですが
私にとっては効果バツグンです。

2週間前にも50歳になり
人生の後半に入ったことを
しみじみと味わいながら
温泉に浸かってきたところです。

私の場合は、退職年齢
平均80歳の世界にいるため
あと30年ほど任期が続きますが
少し生きるペースを緩めて
大自然の移り変わりを味わいながら
ゆったりと人生の後半を過ごしたい
と思っているところです。

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◆執筆者プロフィール◆
井上寛照
医王山安養寺住職
サイモントン療法認定スーパバイザー
IMCJ主催Mindfulness-Based Stress Reduction講師養成第1期生
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