怒りの炎を抱きしめる

2015年4月5日に「NHKこころの時代」で放送された「禅僧ティクナットハン〜怒りの炎を抱きしめる〜」を視聴する機会がありました。 禅師と少女が質疑応答するシーンが印象に残っています。

 Q(少女)
兄や妹に腹が立ったとき、どうしらたいいですか?

 A(禅師)
腹が立ったときは何も言ってはいけません。何もしない方がいいのです。 

自分に戻って、ゆっくり息を吸って、ゆっくり息を吐きます。
それを何度か繰り返して、何か行動を起こす前に、怒りの面倒を見てあげます。

これは平和の行動になります。

すぐに反応したりしないんです。

自分の怒りの面倒の見方を知っていれば、ゆっくり呼吸をしながら、「今のはカチンときた。でも、別に反応して行動する必要はない」と分かりますし、「今この人は幸せでないからあんなことをしたんだ」と思えますから。

その人に対して思いやりを持って微笑みかけます。これは大きな勝利です。

禅師はベトナム戦争中にたくさんの理不尽な悲劇を体験されました。爆撃や銃弾で村人や弟子がたくさん殺され、沸き起こってくる激しい怒りに何度も向き合ってきました。

禅師のやさしい眼差しの奥には深い悲しみが見て取れます。 

怒りの炎を抱きしめて、怒りを慈悲に昇華して、被害者たちの援助だけでなく、PTSDに苦しむ元敵兵たちの心理的援助にも尽力されました。 

そのような禅師であればこそ、少女に語りかける言葉に、より一層の深みを感じます。 

禅師の書籍を手元においておくだけで、「私が感じる怒りなどいかほどのものでもない」と思えます。

怒りを感じたときに、怒りを押し込めるのでも相手にぶつけるのでもなく、怒りの炎を抱きしめる。

湧き起こる怒りにやさしく気づき、その存在を受け止めることができたとき、他人に対しても少しやさしくなれるのかもしれません。